【本】佐藤航陽さんの「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」
経済の知識に乏しく、あまり興味のない分野の本なので、読む前はあまりピンとこなかったのですが、読み始めたら面白くて、良い意味で裏切られたと感じた本です。
今まで当然だと考えていたお金や経済の概念が、良い方向へガラッと変わりました。
例えば、私は人工知能の台頭によって人間の仕事が奪われ、職を失い路頭に迷う人間が続出し、将来は大変なことになるのではないか……と漠然と考えていました。
しかしこの本での「ベーシックインカム」や「価値主義」への言及によって、その不安がある程度消えました。
非常にざっくりですが、特に印象に残ったことを書き記します。
ベーシックインカムとは
国がすべての人に、毎月決まった額のお金を支給する……という社会保障制度です。
正式にこの制度を導入している国はまだありませんが、このまま人工知能などのテクノロジーが発展していけば、いずれベーシックインカムを導入せざるをえなくなる、と筆者は予測しています。
大半の労働は機械によって自動化され、人間はお金や労働から解放されます。人間は生きていくために働くことも、お金を稼ぐことも必要なくなります。
こんな世界になったら、仕事に充てていた時間を自分の好きなことのために使えますね。夢のようです。
資本主義から価値主義へ
資本主義ではお金が重要視されますが、技術の進歩やベーシックインカムの導入により、誰もが衣食住に困らない生活水準を保てるようになると、お金はそれほど重要視されなくなります。
そうなると、お金に代わって人間の内面的な価値や社会的な価値が重視されるようになってきます。
内面的な価値も数字のデータとして認識できれば、それらは比較することができ、かつそのデータをトークン化することで内面的な価値を軸とした独自の経済を作ることもできます。
ツイッターのフォロワー数やフェイスブックの「いいね!」ボタンなどが、内面的な価値の数字のデータに当てはまると書かれていて、なるほどな、と思いました。
インスタグラムに写真を投稿した人が「いいね」ボタンを押されると嬉しいと感じるのも、自分の内面的な価値を高めたいという欲求があるからなんですね。
最後に
「専門用語などはできるだけ使わずに書くことを心がけた」と筆者が書いているとおり、数字や経済に疎い自分でも理解できるほどわかりやすく記述されている本でした。
「仮想通貨」「フィンテック」など、これからの世界で存在感と重要性を増していくであろう事柄にも触れられています。
お金や経済にあまり興味のない人でも、新しい価値観に触れ、少し未来への期待などにワクワクすることができると思います。